LINEやFacebookなどのメッセンジャーツールが広く普及した今でも、コミュニケーションツールとして未だ不動の地位を占める“メール”。

今回は、そのメールを使用した施策や、メール配信シナリオの作成の方法についてご説明します。

目次
〇いつまで一斉配信メールをしているのか
〇One to Oneマーケティングに必要なWEBデータ
〇時代に合わせて成功したメール配信事例
〇読ませるメール配信シナリオの作成術

いつまで一斉配信メールをしているのか

メール配信の方法はひとつじゃない

あなたの会社ではどのようなメール施策を行っているでしょうか。
クーポンの配布、セール情報の告知、新製品の情報など様々な種類のメールが存在します。
何が消費者の気を引き商品購買につながるのか、何が成果につながるのかと悩みながら様々なコンテンツのメルマガを作成しているのではないでしょうか。

今、マーケティング手法としてのメール配信は大転換期に来ています。

一昔前のIT革命によって、メールという手段が一般化したことにより、消費者に情報を届ける手間が大幅に短縮しました。
それによって、より多くの顧客にアプローチができるようになりました。

しかし昨今では、アプローチする顧客を劇的に増やすことは難しくなり、メールを送ってただ反応を待つだけでは成果を創出することも難しくなってきました。
成果を創出するには、既存顧客の購買率を向上させるためのアプローチをする必要が出てきたのです。

メールを一斉配信しているようでは、既存顧客の購買率を向上させることは不可能です。

One to Oneマーケティングのススメ

ではどうすれば、そのような状況に対応できるのでしょうか。
その状況に対応するためのアイデアがOne to One マーケティングです。
One to Oneマーケティングについて、メルマガに置き換えて簡単にご説明します。

まず最初に、分かりやすく対象的な例から説明します。

One to Oneマーケティングの反対は一斉送信によるメルマガ配信です。
これは、興味のある人ない人、購買意欲のある人ない人に関わらず、全く同じ内容のメルマガを配信します。
反応しやすい人にもしにくい人にも同じ内容を送っているので、反応率は頭打ちになってしまいます。
ましてや顧客からすれば、自分の関心外の内容を多く送ってくるメルマガに見えてしまうため、メルマガの解約も増加しやすくなります。

これに対して、顧客が反応しやすい内容だけ送るという手法が、メール配信におけるOne to Oneマーケティングです。

顧客が知りたいと思った時に、新製品のお知らせを送る。
顧客が欲しいと思った時に、セール情報を送る。
顧客が値段で迷った時に、クーポンを送る。
このようなことができれば顧客の反応率はぐんと高まります。

もちろん人によって興味の有無や、購買意欲の有無は異なるので、一人ひとりに合わせてメールの内容をカスタマイズし、それぞれの人が反応しやすい内容を送る。

これが、One to Oneマーケティングです。

成果を出すためには、One to Oneマーケティングの観点でメール配信を行うべきです。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、データマーケティングを行う上で必要となるMAやCRM、BIといった機能をAll in Oneで搭載しているツールとなっています。

One to Oneマーケティングに必要なWEBデータ

では、One to Oneマーケティングの観点でメール配信を行うにはどうすればよいのでしょうか。
メールを配信する前に、まず必要なものがあります。

それは、顧客の情報です。個人個人に合わせた内容を作成するには、まずその個人の情報が必要です。

その人は今どんなことに興味を持っているのか、どのような嗜好性を持っているのか、男性か女性か、年齢は、家族は、etc…

情報が多ければ多いほど正確なメール内容にできるかというと、運用の面からそうとも言い切れない部分はありますが、このような顧客に関する情報を集めることでOne to Oneマーケティングが可能になるのです。

実際に顧客情報としてよく利用されるのは、WEBデータです。
WEBデータには、ウェブトラッキングデータやフォームデータ、オーディエンスデータなどがあります。

ウェブトラッキングデータは、その人がサイトを訪問した時に、どのページを見てどのページに移ったのか、というような情報です。
このデータからは、何に興味を持ってサイトを訪問しているのかが分かります。
サイト訪問者にタグを発行することで情報を取得します。

フォームデータは、サイト閲覧者がWEB上の入力フォームに情報を入力してもらうことで取得するデータです。
例えば、オンラインでのアンケートがこれにあたります。
性別や年齢、希望や願望などその個人に関する情報を収集することができます。
一方で、アンケートの性質上、その人自身が自覚していない情報は知ることができないというデメリットもあります。
もちろん会員情報などもフォームデータに含めることができます。

オーディエンスデータとは、様々な情報を組み合わせることで、ある“人”を想定する情報になります。
例えば、属性情報としての性別や年齢、役職などの情報で、ある人を想定します。
加えて、行動情報としての購買履歴やサイト訪問状況などの情報で、ある人を更に詳細に想定します。
この詳細に想定したデータを、オーディエンスデータと言います。

これらのデータを用いることで個人個人の興味を把握することができ、より惹かれるコンテンツを作り、配信することが可能になるのです。

では、実際にメール配信でOne to Oneマーケティングを実現するためには、データをどのように活用すればいいのでしょうか。次章で具体例を見ていきましょう。

時代に合わせて成功したメール配信事例

株式会社バンク・オブ・イノベーションの成功事例

ゲームアプリを提供するバンク・オブ・イノベーション社が行った、費用対効果が100倍になった休眠顧客に対するメール施策についてご説明します。

このメール施策の中で使われた情報は、顧客のゲーム内での行動とアプリのインストール時間の二つです。

まず、ゲーム内での行動の情報をもとに、どのような行動をしているプレイヤーにどのアイテムをプレゼントするのが喜ばれるのか分析しました。
その結果をもとに、ゲーム内の行動によって違うメールコンテンツを作成しました。

次に、アプリのインストール時間をもとに、メールの配信時間を決定しました。
ユーザーにとって最も迷惑にならない時間帯は、アプリをインストールした時間だと考え、その時間を狙ってメール配信を行ったのです。

施策の一部ではありますが、顧客を意識したメール配信を行うことで、費用対効果が100倍の成果を出すことができた好例となります。

株式会社ベイクルーズの成功事例

次は複数の人気アパレルブランドを展開するベイクルーズ社が行った、自社ECの売上を77%向上させたメール施策についてご説明します。

こちらの例では、個人の購入履歴とトラフィックデータを利用しています。
メール施策として、完全自動のシナリオメール配信と独自の新着メール配信を行っているのですが、その双方に購入履歴とトラフィックデータを活用しています。

まず完全自動のシナリオメール配信についてご説明します。

シナリオメールでは、顧客を購入履歴やログイン履歴などから以下のように5つの分類に分けています。
①優良顧客 ②通常顧客 ③新規顧客 ④見込み客 ⑤休眠顧客

そしてDMP(データマネジメントプラットフォーム)と連携し、それぞれの分類に合ったシナリオを作成します。
この時、購入履歴やカート履歴、商品サイトのトラフィックデータなどから、それぞれの顧客の好みに合わせた商品をレコメンドできるようにします。

そうすることによって、顧客の好みに合わせてレコメンド商品を記載したメール配信を行うことができるようになったのです。
更に、顧客の分類ごとに約50ずつの膨大なシナリオを作成することで、完全自動のメール配信を可能にしています。

次に、新着メールについてご説明します。
新着メールとは、「StyleCruise」において日々公開される旬なトピックスや新着アイテムに加え、購入履歴や商品サイトのトラフィックデータを用いることで再入荷商品、お客様一人ひとりに最適化したレコメンド商品が盛り込まれたメールです。

このメールの反応率は非常に高く、多くのお客様がすぐに新着アイテムをクリックして購入まで至るので、人気ブランドの商品があっという間に売り切れるのはもちろん、セール中はサーバーが落ちかねないほどメールからのトラフィックがあるそうです。

どちらの施策に関しても、購入履歴や商品サイトのトラフィックデータなどから好みを分析することで、一人ひとりに合わせたレコメンド商品を盛り込んでいる点が、まさにOne to Oneマーケティングの好例と言えるでしょう。
またシナリオメールに至っては、顧客の属性を把握することにより更に反応率を高めています。

こちらの例も顧客を徹底して意識することによって成果を上げることができた一例です。

<出典>「成功事例から学ぶ、売上アップの方法~業界の異なる3社に聞く~」
http://webcas.azia.jp/email/knowhow/sales_up.html

読ませるメール配信シナリオの作成術

以上を踏まえて、反応率の高いメール配信シナリオの作成術をまとめてみます。
まず手順としては、以下の3ステップになります。

1、One to Oneマーケティングを行うための情報を収集する
2、オーディエンスデータから顧客をセグメントに分ける
3、分けたセグメントに対し、シナリオを作成する

ここでポイントとなるのは、シナリオの作成の前に、必ずセグメントを切り分けるということです。

どちらの成功事例も、それぞれセグメントを切り分ける情報として、まずはセグメントを切り分けてからメール配信のシナリオを組んでいます。

まずはしっかりセグメントを切り分け、アプローチする対象を把握してからシナリオを作成するようにしましょう。

[参考記事]
メールマーケティングは古い?

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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