ネット社会である現代において、自社サイトにどれだけ多くの人を呼び込めるか、そしてどれだけ多くのリードを獲得できるかは企業の売上に大きく影響しています。
そのため、自社サイトへの集客数やコンバージョン数を向上させるために、デジタルマーケティングは多くの企業にとって非常に重要なタスクとなっています。

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しかし、多くのスタートアップ企業や従来のマーケティング手法に頼っていた企業の中には、最初にどの手法をとるかで悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。
現在、デジタルマーケティングの手法は数多く存在しているため、予算や自社プロダクト・サービスとの相性など様々な点を考慮した上で、最適な手法を選ぶことは非常に難しいものです。
今回はその膨大なデジタルマーケティング手法の中でも、有名で定番といえる「SEO(Search Engine Optimisation)」「PPC(Pay Per Click Advertising)」「SMM(Social Media Marketing)」の3つについてご紹介します。

この3つの手法のうち、一般的に最も良い手法を定義するわけではないため、自社にとってベストな手法を見つけていただけますと幸いです。
考慮すべき要素は以下のとおりです。

①『ビジネスの規模』
②『コスト(金銭面と時間面)』
③『プロダクトもしくはサービス』
④『顧客ベース』
⑤『目標』

ある企業にとってベストな方法が他社にとってもベストとは限りません。では、これらのマーケティング手法のうち、どれが自社にとってベストなのでしょうか?それを理解するには、それぞれなにができるのか、またそれぞれのメリット・デメリットを理解することが重要です。

目次
◇SEOとは?
◇PPCとは?
◇Social Media Marketing (SMM)とは?
◇1 SEOのメリット・デメリット
◇2 PPCのメリット・デメリット
◇3 ソーシャルメディアのメリット・デメリット

◇SEOとは?

SEO(Search Engine Optimisation)とは、本質的に検索エンジンにおける順位を向上させる手法です。たとえば、Googleは順位の高いウェブページからどれだけリンクされているかでウェブページをクロールして分析します。簡単に言うと、あなたのページが順位の高いウェブページにリンクを多くされているほど、Google検索上では上位にランクインできるということです。
上位にランクインするためには、質の高いコンテンツを作成し、SEOの優良ディレクトリからリンクを獲得する必要があります。広告費という観点では一切お金はかかりません。

①ビジネス規模の観点

ビジネス規模の観点では、SEOはビジネスの規模に問わず実施する価値があります。大手企業では多くの人が検索するようなポピュラーな検索ワードで上位を狙うことで売上を大きく伸ばすことができます。中小企業でもマイナーな検索ワードであれば、競合が少なく上位を狙うことができるので、そのワードを検索した顧客のニーズを確実に獲得することで十分に効果が期待できます。

②コストの観点

a)金額的コスト
広告費という観点では費用は一切かかりません。これはSEOでのサイトの順位はいくらお金をかけるかではなく、そのサイトがどれだけ良質なリンクを集めているかという点にのみ決まるからです。なので、マーケティングにそこまで予算を割くことができないという企業でも実施することができます。
b)時間的コスト
SEOでの順位はどれだけリンクを集めているか、すなわちサイトコンテンツの質でのみ決まります。それゆえ、上位を狙うためには質の高いコンテンツを作成する必要があり、ここに多くの時間がかかる可能性があります。

③プロダクト・サービスの観点

プロダクト・サービスの観点でいうと、SEOは検索エンジン上での施策なので、購入を決める際にネットで検索をして調べるようなものに向いていると言えます。インターネットが世界中に普及している現代では、逆に検索して情報を収集せずに購入するものの方が少なくなってきているので、基本的にどのようなプロダクト・サービスでも効果は期待できるでしょう。

④顧客の観点

ターゲットとする顧客について考えるべきことは、ターゲット層がどの検索エンジンを使用しているのかということです。現代ではインターネットで検索をしない層はほとんどないので、どこをターゲットにしているビジネスでもSEOをする価値はありますが、年齢層によって利用している検索エンジンが異なる場合があるので、そこには注意が必要です。例えば日本では検索エンジンの主流がGoogleになりつつありますが、お年寄りの層はまだYahooの利用率が高いです。

⑤目標の観点

SEOはお金をかければすぐに上位に上がる・成果が出るというものではなく、良質なリンク数、すなわち信頼性によって順位が確定します。そのため上位に上がるまでには比較的時間がかかります。
また、これにはサイトのコンテンツやデザインなどを改善し続けなければならないため、時間的コストもある程度割く必要があります。しかし、上位に上がることができればクリック率・コンバージョン率は確実に上がるので効果は十分にあります。これらの点を踏まえるとSEOは長期的にクリック率・コンバージョン率を伸ばしていくという目標に合っている手法と言えます。

SEOを簡単に強化する方法についてはこの記事をご覧ください。
4 Extremely Easy Ways To Boost Your SEO Today!

◇PPCとは?

PPC(Pay Per Click Advertising)は基本的にはお金をかけて自社のウェブサイトに集客するという手法です。SEOが直接ウェブサイトに人を呼び込むためのものであるのに対して、このマーケティング手法は検索エンジン上に表示される広告を介して自社ウェブサイトに誘導します。掲載されている広告がクリックされるごとに、掲載している検索エンジンを運営する会社にお金を支払うという仕組みです。検索エンジンに載せる広告を作成して、どのキーワードが検索されたときに表示させるのかを設定します。上位の広告であればあるほど検索結果の上部もしくはその付近に表示されます。そして検索者が広告をクリックし、自社サイトを訪れるたびにお金が発生するのです。課金の額や広告が表示される場所は広告のコンテンツだけでなく、指定するキーワードやフレーズによっても変化します。人気のキーワードやフレーズを設定しようと思うと、当然競合が多いので上位に表示されにくくなりますし、課金の額も上がります。広告の順位はオークションのような仕組みで決まるので、トップ広告になるには、高い入札単価(訪問者1人あたりに支払う金額)を設定する必要があります。しかし、入札単価が1番に高くない場合でもコンテンツの質が高ければトップ広告になり得ます。SEOが検索エンジン上で広告費をかけずに行えるマーケティングであるのに対し、PPCは広告費のかかる検索エンジン上でのマーケティング手法であるといえます。

①ビジネス規模の観点

比較的大規模なビジネスに向いている手法です。というのも、上位の広告になるためにはある程度の入札単価を設定する必要があります。小額で広告を運用していても投下した金額に見合った効果を得られないことがほとんどです。ある程度資金を投下できる大きめのビジネスに向いた方法でしょう。

②コストの観点

a)金額的コスト
先述のとおり、多額の予算が必要となります。入札単価は自由に設定できますが、効果が期待できる広告運用をするとなると、それなりの価格を設定する必要があります。
b)時間的コスト
上位広告を狙うなら、キャッチーな広告文やバナーを考える必要があるので、その分の時間はかかりますが、サイトの内容を根本的に変えていくという話ではないのでSEOに比べれば非常に短時間で済みます。

③プロダクト・サービスの観点

SEOの章でも述べたとおり、現代では多くの商品・サービスをインターネットで調べた上で購入を検討するので、基本的にどのようなものでも効果が期待できます。特にPPCではキーワードをいくつも設定し、すぐに効果検証をできるので、ターゲット顧客がどのようなキーワードで検索しているのか予測しづらいような場合に適した手法です。

④顧客の観点

PPCについても検索エンジン上で検索されなければそもそも表示できないので、顧客の観点で考慮すべきことはSEOと同様です。ターゲットとなる顧客層がどの検索エンジンを利用しているのかを調査した上で、どこにどれくらいの資金を割くかを考えましょう。

⑤目標の観点

PPCでは広告の順位が入札単価とコンテンツで決まるため、SEOとは違い比較的短期間でトップ広告になることが可能です。そのため、結果が見え始めるのが早いという特徴があります。予算の観点も踏まえると、ある程度の予算をかけてもよいので、すぐにクリック率やコンバージョン率が上がるような施策を打ちたいという目標に適したマーケティング法であるといえます。

◇Social Media Marketing (SMM)とは?

Social Media Marketing とは本質的に、ソーシャルメディアを利用してトラフィックを獲得したり、注目を集めたりするものです。以下にあげるようなものを含む、様々なソーシャルメディアが存在します。

・Facebook
・Twitter
・LinkedIn
・Pinterest
・Instagram

SMMには自社アカウントを作成して情報を発信する広告費のかからない方法と、広告費をかけてソーシャルメディア上に広告を載せる方法があります。広告費のかからないものについてはSEOと同様でいかに発信する内容、例えばキャンペーン・コンテンツの質を高められるかが重要で、ロジックとしては非常に単純です。ですので今回は費用のかかる、広告をソーシャルメディア上に載せる手法について詳しく見ていきましょう。

①ビジネス規模の観点

後述しますが、SMMはインプレッション数をあげるのに非常に適した手法です。大企業のコンバージョン数向上にももちろん効果がありますが、まだ世間からあまり知られていないような小規模の企業がSMMを実施することで認知度の向上も見込めます。

②コストの観点

a)金額的コスト
SMMの場合は広告を配信する場合でも小額から始めることができるので、予算は低く抑えることができます。
b)時間的コスト
ここはPPC広告と同じで、クリックしてもらえるようなキャッチーな広告を作成するだけの時間はかかります。

③プロダクト・サービスの観点

SMMの大きな特徴として、広告を見るターゲットは何気なくその広告を見ていることが多いという点が挙げられます。ソーシャルメディアは何か目的があって見るものではないので、SEOやPPCと違い、何かを求めて検索し、広告にたどり着くわけではないのです。すなわち、検索されなくても顧客に表示することができるということなので、そもそも検索されにくい新規性の高いプロダクト・サービスにている手法と言えます。

④顧客の観点

当たり前ですが、ターゲットがソーシャルメディアを利用しているかということを考慮する必要があります。それに加えて、ターゲットがどのような用途でソーシャルメディアを利用しているのかという点も考える必要があります。例えば10代の若者と40代のビジネスマンが同じソーシャルメディアを使っていたとしても、その目的は違うかもしれません。このような点を考慮することで自社がSMMに適しているかどうか見えてくるはずです。

⑤目標の観点

先述したとおり、SMMが他の2つの手法と大きく異なる点は、広告が目に入るときの顧客の心境です。ソーシャルメディア上の広告を見るときに、ユーザーは特にその広告についての情報を欲している
わけではないので、クリック率は他の2つの手法に比べて劣ります。一方で検索するしないに関わらず、ソーシャルメディアのユーザーに表示させることができるのでインプレッション数は他の2つよりも圧倒的に多いです。これを踏まえるとSMMは、インプレッション数を上げる、多くの人の目に入れることで認知度を上げる、といった目標に適した手法であるといえます。

では、どのマーケティング手法が自社にとってベストなのか。上記の各手法のメリット・デメリットを整理してみましょう。

◇1 SEO

#1-1 SEOのメリット

・ウェブサイトへのトラフィックを得てもお金がかからない。
・有機的に順位を上げていくことで、信頼を得ることができる。
・オーガニックなトラフィックのほうが課金して得たトラフィックよりも販売につながりやすい。

#1-2 SEOのデメリット

・良質なリンク数のみで順位が決まるため、検索結果に表示される順位をコントロールすることができない。
・リンクを多く獲得するには時間がかかるので長期的戦略になる。つまり、すぐに結果が見えづらい。
・多くのリンクを獲得するためには、自社ページのコンテンツを充実させることが必須であり、多くの労働力がかかる。

◇2 PPC

#2-1 PPCのメリット

・検索結果の最上位に表示させることができるので、すぐに検索者の見える位置に表示できる。
・予算を設定できる。
・キャンペーン内容をすぐに変更することができる。
・すぐに始めることができ、やめることもできる。
・検索エンジン上でどのように表示されるかを完全に制御でき、結果がすぐに目に見える。

5つ目のメリットの詳細についてはこの記事をご覧ください。詳細についてはこの記事をご覧ください。

How Long Does PPC Take To Get Optimal Results?

#2-2 PPCのデメリット

・顧客となり得ない人が広告をクリックする可能性がある。
・クリックを多く獲得すればするほど、お金がかかる。
・目的と関係のないところにお金をかけてしまいがちになる。

ちなみに、1つ目のデメリットとして挙げている「クリックが顧客とは限らない」という問題点は除外キーワード設定という機能で回避することができます。これは除外キーワードとして設定したキーワードで検索したユーザーに広告を表示しないという機能です。例えばグラスを販売している会社はもちろんキーワードに「グラス」を設定しているはずですが、このままでは「サングラス」と検索した人にも広告を表示してしまいます。この人が何かの間違いで広告をクリックした場合、顧客でないのにもかかわらずそのクリックにお金がかかります。これが顧客でないユーザーが広告をクリックするという事象です。ですが、除外キーワードに「サングラス」を設定しておけば、サングラスを検索した人に広告が表示されないので、このような事態を防ぐことができるのです。

◇3 ソーシャルメディア

#3-1 ソーシャルメディアのメリット

・10億人を超えるソーシャルメディアユーザーがいる。
・「いいね」や「Like」などの機能により、企業からの一方通行のマーケティングではなく、オーディエンスとの相互コミュニケーションがとれる。
・コスト効率が良い。

#3-2 ソーシャルメディアのデメリット

・PPCやSEOよりもトラフィックが取りづらい。
・ソーシャルメディアユーザーの否定的なコメントによってブランドイメージが低下する可能性がある。
・社会的プレゼンスを築き上げるには長い時間がかかる。

以上に挙げたような点を考慮すると、3つのマーケティング方法の中から全ての企業にベストな方法を1つ選ぶことはできません。企業によってこれらの手法を実施して得られる利益は異なってくるでしょう。必ずしも1つに絞るのではなく、それぞれの長所を取り入れて複数組み合わせて実施し、運用していくことが大切になってきます。

そして、それぞれの方法でどれだけの結果が出ているのかを可視化し、改善策を考え、また結果を可視化し、というのを繰り返して自社なりのデジタルマーケティング手法へとカスタマイズしていくのです。

今話題に挙がることが多いMAツールやDWHというものは、データの可視化や分析といった部分を自動で行ってくれます。この作業は人力で行おうとすると、データやシステムについての専門的な知識が必要になる他、何週間や何ヶ月という単位で時間が取られてしまうこともあります。これでは十分な速度でマーケティングを改善していくことはできませんので、デジタルマーケティングを始める際にはMAツールの導入についても検討すべきでしょう。

【参考】データをマーケティングに利用するなら
マーケティングオートメーション(MA)とは何か

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  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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