本記事では、データ統合基盤であるDMPやCDPの導入において失敗する原因に焦点を当てて、その具体的な内容を紹介していきます。データ収集や統合、分析を経てアクションプランの実行に至るという流れの中で、DMPを活用している組織や活用の検討を進めている組織は少なくありません。しかし、その中でDMPを上手く使いこなせていないケースも目立ちます。その原因を理解しつつ、改善点を見出していくことが大切です。活用失敗を防ぐためのポイントも含めて、どうぞご覧下さい。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、施策を行うためのデータの連携から抽出までをノーコードで実現し、メール(MA)/LINE/SMSなど、複数のチャネルを組み合わせた顧客アプローチが可能なCDPツールとなっています。

1.DMPやCDPで失敗する原因9

それでは早速、DMPやCDPで失敗する原因について確認していきます。
さまざまな原因を挙げることができますが、使いこなす際の反面教師として理解を深めていきましょう。

1-1 利用目的が不明確

まず、DMP、CDPの活用で失敗する原因として、利用目的が不明確という点を挙げることができます。企業や組織が独自で保有するデータを集約して一元管理をすることに長けているDMPやCDPですが、それだけにこだわりすぎていると、何のために利用しているのかが見えてきません。

単純に「競合他社が使っているから」、「時代の流れに合わせて導入してみた」など、曖昧な導入目的では効果を高めることができません。また、最も多いのが、「今後使えそうだからとりあえずデータを貯めておいた」というパターンです。データには鮮度があるので、古いデータはなかなか活用出来ないですし、データの持ち方が整っていなければ、いざ使おうと思った時に全く使えない、なんてこともよくある話です。

収集したデータをどのように分析して、どのように活用していきたいのか明確な指針を持つことが大切です。

1-2 データの中身を把握できていない

2つ目は、データの中身を把握できていないという点です。DMPやCDPは大量のデータを一元管理できるところにメリットがありますが、データ量が多くなってくると、どのデータが入っているのか把握できないことがあります。

データ収集をすることだけに重点を置いてしまうと、肝心なデータ分析やアクションプランの実行まで至らないことがあるので、注意が必要です。

1-3 実施したい施策と見合わない

実施したい施策と見合わないという点も挙げられます。そもそも商品やサービスの特性自体を鑑みると、Web上でのアプローチが適切なのかという問題もあります。

商品やサービスによっては、まだまだFace to Faceでのアプローチの方が効果が出るケースもあります。自分たちが売っている商品やサービスとDMP、CDPの相性を検討せずに開始してしまうと、結果には繋がらない可能性があります。

1-4 組織内での連携が不十分

組織内での連携が不十分なケースにおいても、DMP、CDPの活用が失敗に終わることがあります。データ収集を行う部門と、実際にデータを分析して活用する部門が異なるというケースは珍しくありません。

例えば、システム部でデータ収集を行い、営業部やマーケティング部で実際のアクションを実行するケースなど、部署ごとの連携やコミュニケーションが上手くいっていないと、データ活用も上手くいかなくなります。部署ごとに専任担当者を置くなどして、連携強化を図ることが重要です。

1-5 データの管理に精一杯

DMP、CDPの活用において、データの管理に精一杯になってしまうと、成果を出すまでの道のりは遠ざかってしまいます。

DMPやCDPを導入してデータ収集を開始すると、顧客データや会員データ、行動データや属性データなど、さまざまなタイプのデータを大量に集めることができます。データを収集して管理するだけでも大変なことですが、それだけで精一杯になってしまうと、なかなかアクションプランの実行まで至りません。そうなると、必然的に予定していた施策も失敗に終わる可能性が高まります。

1-6 データ量が不十分

データ量が不十分であることも失敗に終わる原因の1つです。DMP、CDPの活用は、データの収集を行い、そこからデータ統合、分析を経てアクションプランの実行へと移っていくのが基本です。その過程において、初期のデータ量が不足しているとデータ統合や分析、アクションプランの実行においても失敗に終わる可能性が高くなってしまいます。

自分たちが実施したいアクションプランのためには、どのくらいのデータ量が必要なのか、そのデータ量を確保する算段はあるのかを慎重に判断してから、DMPやCDPの導入を進めることが重要です。

1-7 ツールへの頼りすぎ

DMP、CDPの活用が失敗に終わる原因として、ツールへの頼りすぎという点も挙げることができます。顧客データを継続的に統合管理できるのがDMPやCDPの魅力ですが、それだけに依存していてもその先の成功は見えてきません。

ツールが全自動で何もかも行ってくれるわけではありません。一度設定を行えば自動的に流れてくれる部分もありますが、ツールに頼りすぎていては成功への道のりから遠ざかることになります。その辺は認識を新たにして活用する必要があるでしょう。

1-8 アクションプランの欠乏

DMP、CDPの活用においては、具体のアクションプランもしっかりと考えておく必要があります。アクションプランが欠乏していると、そのまま施策も失敗に終わる可能性が高くなります。

収集したデータを統合、分析して何をしたいのか明確にさせたうえで、メール配信をしたいのか、プッシュ通知をしたいのか、クーポン配信や商品レコメンドをしたいのか、あるいはWeb接客に繋げたいのかなど、具体的なアクションプランを考えることが求められます。

何をしたいのか決まっておらず、アクションプランも限定的な状態だと、DMPやCDPを活用して収集したデータの有益性が損なわれていきます。先の先まで見通す力を養い、具体的にどのようなアクションを実行していきたいのかまで検討することが大切です。

1-9 専任担当者の不在

DMP、CDPの活用について、専任担当者の不在という点も失敗に終わる可能性を高める原因です。Web接客ツールやBIツールなどもそうですが、Webマーケティングに関するツールは、片手間で活用できるほど甘いものではありません。

特に最初のセッティングの工程は、一定の工数を割いて行う必要があります。その後のデータ統合や分析、アクションプランの実行といった流れについても、担当者を置いた上で運用していかないと、どんどん後回しになってしまいます。1度実行して終わりということではなく、PDCAサイクルを回しながら改善を重ねていくという点においても、専任担当者を置いておくのが賢明です。

また、DMP、CDPを活用する部署ごとの担当者も配置し、定期的にコミュニケーションを取りながらPDCAを回すことも大切です。

2.DMP、CDPで失敗しないためのポイント

ここからは、DMPやCDPで失敗しないためのポイントについて解説していきます。データ収集や統合、管理、分析に強みを持っているDMP、CDPですが、上手く活用することができないと、なかなか成果は上げられません。

DMP、CDPの活用においては、成果を上げるためのポイントを意識して行動につなげることが有効です。そのポイントについて理解を深めていきましょう。

2-1 ゴールから逆算する思考力

まず意識すべきは、ゴールから逆算する思考力です。DMP、CDPの導入・活用においては、データ収集や統合をしただけで満足してしまうことがあります。しかし、それではなんの成果も生み出すことが出来ません。

収集したデータを活用してアクションプランの実行を行い、具体的な成果を上げるまでが一連の流れです。そのゴールを意識して逆算していくことによって、データの収集・統合を行う意義や価値が生まれます。

例えば、最終的にレコメンドした商品を購入してもらうことがゴールなのであれば、そこから逆算してどのようなデータが必要なのか、そのデータを集めるにはどのような設定が必要なのかをブレイクダウンすることができます。

あくまでも最終目標を達成するための助けになるのがDMPであり、データ収集だけで満足することがないように気をつけましょう。

2-2 データ収集からアクション実行に至る流れの理解

2つ目のDMP、CDP活用のポイントとして、データ収集からアクション実行に至る流れの理解を挙げることができます。

DMP、CDPの活用については、データ収集、統合、管理、分析、アクションプランの実行といった流れを経て成果につなげていく必要があります。そこの一連の流れを理解して、要所要所で改善できる部分を見出し、次の施策へと繋げることが求められます。

ゴールから逆算する思考力と重複する部分でもありますが、この一連の流れを意識してDMPやCDP活用し、PDCAを回すことで、成果に繋げることが可能です。

2-3 ツールの使いやすさ

3つ目のポイントは、ツールの使いやすさです。

一般的にデータ統合やDMP、CDPを導入・運用しようとすると、データの連携や基盤の構築のために、エンジニアがSQLを書く必要があったり、外部のコンサルを雇う必要が出てきます。これでは社内メンバーの工数が発生してしまったり、コンサルへ発注するのに莫大なコストが発生してしまいます。また、高度な施策の実施や、新規に追加されたデータの統合、マーケティングオートメーションやBIとの連携にも専門的なスキルが必要となります。

これらの点も考慮し、追加の費用や工数が発生しないか、自社のメンバーでも運用することが可能なのかを事前に把握しておくことが肝要です。

3.まとめ

DMP、CDPの活用において、失敗する原因を9選にわたってご紹介してきました。DMPやCDPの導入・運用は様々な原因が複合的に絡み合って失敗に終わることも多く、一筋縄ではいかない部分もあります。その中でいかに結果を出すかというところに焦点を当てて、活用を進めていくことがポイントです。

成果を上げるためには、収集したデータを使って何をしたいのかまでしっかりと考え切ることが重要です。ゴールの部分が明確になっていることで、そこに至るプロセスでやるべきこともはっきりしてきます。そうした視点を大切にして、DMPやCDPを活用していきましょう。

[参考記事]
CDP構築・導入で失敗しない!主な流れと手順・注意点
CDPとDMP,MAの違いは?
CDPの比較!ベンダー/ツールはどう選ぶ?
MAのシナリオ設計のコツ!マーケティングで成果を生むには?
・CDPとは?

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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