現在市場を賑わせているスマートスピーカー。皆さんの中にもすでに購入された方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、そんなスマートスピーカーがマーケティングにもたらす変化についてご紹介します。

1.スマートスピーカーを取り巻く現状

スマートスピーカーと言えば、AmazonのAlexaやGoogleのGoogleアシスタントなどが有名です。日本ではLINEが販売しているClovaもシェアを拡大させています。このように、音声検索はますます一般的になってきています。実際に米国では成人男性の約40%が一日に一回以上音声検索を利用しています。また、スマートスピーカーを通した通販市場は2022年に400億ドルになるとまで予測されており、今後の動向に注目が集まっています。

このように、米国を中心に発展しているスマートスピーカー市場ですが、もちろん日本でも急速に拡大を続けています。 2017年段階ではおよそ18億円程度であった日本のスマートスピーカー市場ですが、2025年にはおよそ165億円にまで伸びると予測されています。市場にこれだけの大きなインパクトをもたらすスマートスピーカー、この影響が及ぶのは何も消費者だけではありません。市場を通して消費者と対峙するマーケターもまた、このスマートスピーカーの登場に対応していく必要があります。

この記事ではスマートスピーカーがマーケターにもたらす3つの変化を予測し、まとめました。この記事が皆さんの新たな発見の一助になれば幸いです。

2.変わる検索

まず初めに、検索方法の変化について説明します。検索方法に関連して予測される変化は大きく分けて2つあります。

1つ目は、”検索語句の傾向が変化する”というものです。一体どういうことでしょうか。当たり前ですが、スマートスピーカーを用いた検索は従来の検索方法から大きく変わることが予想されます。従来まではキーボードでテキストを入力していた検索を、発声によって済ませることが出来るようになるのです。

具体的にイメージをしてみましょう。テキストで入力をしていた場合、日本語では1分に100文字程度入力が出来れば一定のPCスキルがあると言われています。一方で日本語であれば1分に300文字程度話すことが出来るそうです。さらに、PCのキーボードを操作するには一定のスキルが必要ですが、話すことには何のスキルも必要ありません。つまり話すことのハードルは、キーボード操作を習得するよりも圧倒的に低く、インターネットで調べ物がされる回数が今まで以上に増えることが予想されます。

このように、検索の際に使用するものがキーボードから音声になることによって、検索語句も今までの違ったものになるでしょう。例えば、「渋谷 ピザ 一番人気」と検索されていたものが、「渋谷でおいしいピザが食べたい」といったような文章に近いものに変化すると予測されています。この変化に伴って、マーケターも行動を変える必要があります。それは”新たなSEO対策”です。従来のキーワードをベースにしたSEO対策から、文章に対応したものへ。この変化に対応出来るかどうかが、スマートスピーカーが普及した後の社会で勝ち抜くためのポイントになってきそうです。

2つ目の変化は”検索順位の重要度”です。スマートスピーカーを用いた検索では基本的に最上位にヒットしたものだけが検索結果として消費者に返されます。これの事実がマーケターに与えるインパクトは非常に大きいでしょう。従来の検索エンジンを用いた検索では、1位から10位までの検索結果が表示され、3位以内に入ればSEOとして成果が上がる、ということが業界でも言われてきました。

しかし、今後スマートスピーカー市場を狙うとなると、話は変わってきます。スマートスピーカーは検索した結果、1位の情報しか消費者に返しません。そのため、スマートスピーカーを用いた検索で消費者にヒットさせる場合、全体施策の中でSEOにかけるリソースを増やす必要があることが予想されています。

3.広告が変わる

現在、日本のスマートスピーカー市場を席捲しているのは、AmazonのAlexa、GoogleのGoogleアシスタントですが、それぞれデバイス上で使えるアプリのようなものがあります。Alexaでは「スキル」、Googleアシスタントでは「アクション」と呼ばれています。今後マーケターが考えなければならないのは、この「スキル」や「アクション」上でどのように広告を出していくのか、ということです。もちろんユーザーは画面を一切見ないため、マーケターは聴覚だけで消費者の心を動かす必要があります。音だけでクリエイティブを創るという挑戦は、ラジオの時代からテレビの時代に移り変わった際に、下火になりました。しかし今、改めて音だけで表現をしなければならない時代が来ています。音で商品/サービスを表現することを意識するのはもちろんですが、それだけではなく、商品/サービス名をどのように設定するかも重要になポイントになってくるでしょう。

改めて、音を通したユーザーへのアプローチを検討する段階に来ています。今後、どのように業界のトレンドが変わっていくのか、その動向が楽しみです。

4.購買行動が変わる

現在、米国人消費者の3分の1がスマートスピーカーを所持しているという統計データがあります。
(出展:https://www.mobilemarketer.com/news/adobe-smart-speaker-ownership-set-to-hit-48-after-the-holidays/532016/)

また、2018年末には、米国人の約半数がスマートスピーカーを持つ時代が来るとも予測されています。日本でもアメリカに遅れは取っているものの、徐々にそのシェアを伸ばしてきています。スマートスピーカーは消費者の購買行動をどのように変革するのでしょうか。

有識者たちの見解では、スマートスピーカーの普及によって消費者の行動はより「衝動的」になると予測されています。例えば家族で会話をしている際に、旅行に行きたいという話で盛り上がり、実際に行ってみよう、となったとしましょう。今までだったらスマートフォンやPCを立ち上げて、検索キーワードをブラウザに打ち込み、結果から興味を惹くサイトを選ばなくてはなりませんでした。一方でスマートスピーカーを持っていれば、「家族で旅行に行きたいからおすすめの場所を教えて」と口にするだけです。

言い換えると、購買まで複雑なプロセスを踏まなくて済むようになるため、消費者のペインポイントが減少し、意欲が高い状態のまま意思決定を行うようになるのです。この意欲が高い状態を維持した状態のまま、購買まで至らせるには、どのような工夫が必要なのか。今まで以上にクリエイティブで新しいアイディアが必要になることでしょう。これからどんな面白いアイディアが市場を湧かせるのか。市場のトレンドを追いながら、時代に適したマーケティング手法を考えていきたいところです。

5.まとめ

ここまで、スマートスピーカーがもたらすであろう3つの大きな変化について述べてきました。今後はスマートスピーカーに限らず、多くのテクノロジーが開発され、世の中が劇的な速さで変化していくことが予測されます。今やマーケティングとテクノロジーは切っても切り離せない関係となりました。マーケターは今まで以上にテクノロジーに明るいことが求められるような時代になってきています。

今後もテクノロジーの進歩をキャッチアップし、どんなマーケティング策が生まれるのか、市場を観察していきたいところです。

【参考】データをマーケティングに利用するなら
マーケティングオートメーション(MA)とは何か

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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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